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 ◆祈りのかたち

 高野川と賀茂川の合流する三角州の南から広葉樹の生い茂る糺(ただす)の森に足を踏み入れる。瀬見の小川を横に眺めながらさらに北へ進み、楼門へ。

 賀茂御祖神社(下鴨神社)の初詣の人出は、蹴鞠初めにはピークとなり神前へのお詣りは混雑の長い列に並ぶことになる。

人々のお詣りの仕方や祈りの時間などは驚くほど千差万別で、その順番待ちの時間は観察の時間となってしまう。
 二礼二拍手一礼を守る、大きく拍手する、ただ頭を下げる、鈴をこれでもかと振り鳴らす、ただただ長く祈る、祈ったかわからないほどで終わる、などなど。

 ある母親が「次の人に悪いから早くしなさい」と言うのを聞いた。また、ある母親は「ちょっと待って、家族のこと全部お願いしなきゃ」と言うのを聞いた。
短いことは信心深くないのか、長いことは迷惑なのか、よくわからなくなる。人に気を遣うことを教える人も素晴らしく、自分の納得のいくように祈る人も素晴らしい。

 混雑は祈りの数だ。それだけ人にとって祈ることは、大切なものであり、自由であり、自分だけのものであり、みんなのものだ。鈴の下で多くの人はまた新しい一年を思っていた。
わたしもそのひとり。自分の時間とかたちで手を合わせた。

2025年未来エッセイ「その日その日」掲載分


  • それぞれの祈りのかたちを待つ次のわれらも二礼二拍手をして


賀茂御祖神社は
毎年初詣に訪れるほど
何か大きな力を感じる場所

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